水とマグネシウム粉末の反応の熱的危険性と水の蒸発潜熱が発熱挙動に与える影響

  • 西脇 洋佑
    労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ.
  • 佐藤 嘉彦
    労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ.

書誌事項

タイトル別名
  • Thermal Hazards of Magnesium Powder reacting with Water and Effect of Heat of Water Evaporation on Thermal Behaviour
  • ミズ ト マグネシウム フンマツ ノ ハンノウ ノ ネツテキ キケンセイ ト ミズ ノ ジョウハツ センネツ ガ ハツネツ キョドウ ニ アタエル エイキョウ

この論文をさがす

抄録

<p>マグネシウム(Mg)粉末やその合金粉末と水の反応は,反応時の発熱による温度上昇および可燃性ガスの発生から,度々発火による災害の原因となっており,また火災後の消火活動を阻害し,被害の拡大や長期化を招き,多くの労働者が被災している.災害発生の未然防止と被害低減のためには,リスクアセスメントの結果に基づく的確なリスク低減措置を講ずることが有効であり,的確なリスクアセスメントを実施するには,Mg粉末の熱的危険性を的確に評価しておく必要がある.しかし,水が存在する系では,水の蒸発潜熱が熱分析から得られる見かけの発熱挙動に影響し,熱的危険性が過小評価されることで,適切な対策を講ずることができない恐れがある.本研究では,密閉容器を用いた定速昇温条件での熱分析について,Mg粉末と水の発熱反応をモデルに水の蒸発潜熱の影響を補正する手法を検討し,その影響を明らかにした.得られた発熱挙動に対する反応速度論的解析結果の比較から,水の蒸発潜熱の影響で,反応速度論的解析結果の解析値の妥当性を示す決定係数が低下し,得られる反応速度パラメータも変化することが示された.特に発熱速度が低い反応では補正時の大きな反応速度パラメータの違いが生じ,補正を行わない場合,反応初期において見かけの活性化エネルギーが高く算出されることで熱的危険性が過小評価され,誤った対策から労働者の死傷に繋がる可能性が示された.</p>

収録刊行物

  • 労働安全衛生研究

    労働安全衛生研究 15 (1), 3-11, 2022-02-28

    独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ