音の基礎と可視化

  • 平田 武士
    日本音響エンジニアリング株式会社 騒音対策事業部

書誌事項

タイトル別名
  • Fundamentals Knowledge and Visualization of Noise
  • 音の基礎と可視化 : 音響カメラとシミュレーションによる可視化
  • オト ノ キソ ト カシカ : オンキョウ カメラ ト シミュレーション ニ ヨル カシカ
  • —Visualization with Acoustic Camera and Simulation—
  • —音響カメラとシミュレーションによる可視化—

この論文をさがす

抄録

<p>騒音とは,「好ましくない音,不必要な音,迷惑と感じる聞きたくない音」であり,音を客観的に把握する必要がある。音とは,媒質(空気,水等)の振動により聴覚に引き起こされた感覚またその要因となる空気等の振動である。音の物理量とは,音響パワー(音源が単位時間に放出する音のエネルギー),音圧(あるポイントの大気圧との微少な圧力変動),音の強さ(音の伝搬方向に対して垂直な単位面積を通じて単位時間に流れる音のエネルギー)である。音の認識とは,物理的レベル(空気の振動としての音),生理的レベル(鼓膜が空気の振動を捉える。この振動は神経信号に変換され,脳に伝わる),心理的レベル(脳によって高度な情報処理を行って「音」として認識する)があり,耳の特性,聴覚神経による伝達を経て「聞こえた」と感じる空気の振動としての音と人間が感じている音には違いがある。騒音レベルとは,人の耳の特性に合わせて補正した音圧レベルであり,騒音計の場合は周波数重み付け特性A補正回路で計測する音圧レベルである。</p><p>騒音源の場所を探すには聴感上の判断と騒音計による測定が一般的である。しかし,他者との情報共有や高所などの危険個所での測定が困難なことから,マイクロホンアレイを用いた音源探査技術による測定で,測定位置への音の到来方向と強さを調べることができる。弊社の音響カメラであるSoundGraphy®の特徴は,画期的な小ささと軽さ,現場でも使用可能,珍しい球型音響カメラ,タブレットPCで簡単操作,音の発生状況をリアルタイム表示,データ保存機能でプレイバック&再分析,可視化動画で様子を共有可能である。</p><p>音響シミュレーションによっても可視化が可能だ。これは,現実に難しい条件など想定する場面を再現したモデルを用いて分析する手法であり,今起こっている問題の推定とその対策効果を視覚的にも事前に確認できる。</p><p>騒音対策の例として,⑴現地調査(騒音状況のヒアリングと専門業者視点での現地問題推定),⑵現況の騒音状況をモデル化(調査を基にシミュレーションを行い寄与を推定),⑶対策シミュレーション(対策方法を検討し効果を事前に予測),⑷対策工事(シミュレーション結果を基に対策方法の提案・対策工事),⑸対策後の確認測定,となる。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 75 (12), 1097-1103, 2021

    紙パルプ技術協会

参考文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ