河竹黙阿弥作品のオノマトペ : 幕末の歌舞伎脚本を対象に

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  • A Study on Onomatopoeia in Kawatake Mokuami’s Kabuki Script : Focusing on the Mokuami’s Kabuki Script at the End of the Edo Period

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抄録

河竹黙阿弥の幕末の5作品を対象に、ト書き、浄瑠璃、セリフに分けてオノマトペの特徴を整理した。ト書きは、心情表現、動作・表情、音楽や鳴物等の三点から整理した。ト書きの心情表現は、「きつと」「ぎつくり」「ぢつと」「につたり」「びつくり」「ほつと」「ほろり」が「思入」の定型的指示であり、その他「むつと」「はつと」「うつとり」等が多用されている。動きや表情は、「きつと見得」を初め「つかつか」「どうと」「ばつたり」「ぐつと」「しやんと」等が多用されている。音楽は「きつぱり」「しんみり」「しつぽり」という三味線の指示が特徴的である。浄瑠璃部分は、軍記や浄瑠璃に見られた古い時代のオノマトペが多い一方、口語的なオノマトペも見られた。セリフにはト書きや浄瑠璃に見られないオノマトペが多数あり、「きなきな」「すごすご」「ゆつくり」等の心情表現、「しやあしやあ」「ぐびぐび」等の卑俗なイメージの語、「ぐつすり」「すやすや」等の眠りを表す語、「きりきり」「さつぱり」「ずんど」等の強調表現が特徴的である。また、「べんべん」という漢語系オノマトペも見られた。

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