急性心筋炎における早期再分極心電図所見の頻度と臨床的意義,および心臓磁気共鳴画像法に基づく機序の検討

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タイトル別名
  • Prevalence and Significance of an Early Repolarization Electrocardiographic Pattern and its Mechanistic Insight Based on Cardiac Magnetic Resonance Imaging in Patients with Acute Myocarditis

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抄録

<p>早期再分極パターン(ER-ECG pattern)はJ波とも呼ばれ,日常診療でよくみられる心電図所見である.従来予後良好とされてきたが,近年,種々の基礎心疾患を有する症例で致死性不整脈との高い関連性が報告されている.しかし,急性心筋炎におけるER-ECG patternと致死性不整脈との関連は不明であり,今回その関連を検討し,心臓磁気共鳴画像(CMR)所見に基づいた機序の洞察を行った.急性心筋炎患者30症例(平均年齢39.2歳,男性23例)において,9症例で心筋炎急性期のみ一過性に限局したER-ECG patternを呈し(ER群),これらの心筋傷害は軽度であった.CMRのT2強調画像ではER-ECG patternの誘導に近接する左室心外膜側に限局した高信号を認めた.一方,ER-ECG patternを伴わないST上昇や異常Q波を呈する残りの21例(non-ER群)では心筋傷害は高度で,T2高信号域は左室全周性に及んだ.劇症化例では致死性不整脈が発生したが,ER-ECG patternを呈した例では1例もなかった.急性心筋炎では,心外膜側に限局した炎症や浮腫が心内膜−心外膜間の電気的勾配を形成し,ER-ECG patternをきたす成因の一つと考えられた.急性心筋炎におけるER-ECG patternは一過性かつ可逆性であり,心筋傷害も心外膜側に限局しているため劇症化することなく経過し,致死性不整脈との関連はなかった.</p>

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 42 (1), 5-13, 2022-03-04

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (13)*注記

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