国民経済計算・政府財政統計の課題と展望 -一般政府・公的部門における発生主義情報の活用に向けて-

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  • コクミン ケイザイ ケイサン ・ セイフ ザイセイ トウケイ ノ カダイ ト テンボウ : イッパン セイフ ・ コウテキ ブモン ニ オケル ハッセイ シュギ ジョウホウ ノ カツヨウ ニ ムケテ

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Abstract

<p> 公会計改革による発生主義情報については,我が国の国民経済計算(JSNA)・政府財政統計(JGFS)の基礎統計として活用することが考えられる。これは,SNA・GFSが発生主義を採用しているからである。JSNA・JGFSの推計方法を確認したところ,一般政府及び公的部門の推計では主に現金主義情報をそのまま用いたり,統計的手法を用いたりしていて,公会計改革による発生主義情報をほとんど用いていなかった。このため,推計値の正確性,網羅性,国際比較可能性及び有用性が低下しており,また,JSNAは公的部門連結勘定を,JGFSは一般政府及び公的部門の統合された1セットの計算書をそれぞれ作成していない。</p><p> 公会計改革による発生主義情報については,①正確性及び網羅性に欠けていること,②作成時期が遅いこと,③作成が法制化されていないこと,④連結の対象範囲がJSNA・JGFSと異なることから,現状のままでは,基礎統計として用いることはできない。これに加え,現在までの公会計改革では,一般政府及び公的部門を会計主体とする連結財務書類を作成しておらず,また,政府と連結対象法人等の間,及び国と地方公共団体の間で会計ルールの調和が図られていない。</p><p> 公会計改革サイドの改善策については,国際比較可能性へも配慮しながら段階的に講じることが考えられる。第一段階では個別財務書類の見直しを行い,複式簿記による発生主義で作成することを法令の規定で義務付けたり,日々仕訳を採用したりする。第二段階では連結財務書類の見直しを行い,連結の対象範囲をJSNA・JGFSと同様に政府支配基準で決定したり,一般政府及び公的部門を会計主体とする連結財務書類を作成したりする。第二段階では,政府及び連結対象法人等において一般目的財務報告の基礎概念及び会計ルールを国際公会計基準(IPSAS)に収斂させることが望ましい。</p>

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