Abstract
<p>多くの霊長類集団内には優劣関係が存在し,劣位性を示すことで相手との関係を調整していると考えられている。マカクなどの霊長類は,攻撃を受けた時にfear grimace(FG)を行い,自身の劣位性を表情で相手に示すことがある。本研究では,餌付けニホンザル集団において,FGによって個体間の対立状態が和らげられるかを検討した。岡山県真庭市に生息する勝山ニホンザル集団を対象として,給餌場面にアドリブ観察を行い,被攻撃個体を1分間個体追跡観察した。攻撃を受けた個体は,攻撃個体と血縁関係にあるとき,攻撃が身体接触を伴う激しいものであるとき,また攻撃交渉終了時点の相手までの距離が短い時に,FGを多く示す傾向があった。FGを示した場合には,攻撃交渉後1分間以内に再度攻撃を受ける割合が少なくなっていた。さらに,FGを示していると,FGを行わない場合に比べて,攻撃交渉が終了してから1分後に近接している割合が高くなっていた。以上より,ニホンザルが他個体から攻撃を受けた後,対立状態を和らげる必要が大きいときにFGを示していた。そして,FGを示すことで,実際に対立状態が和らげられていることが示された。</p>
Journal
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- The Proceedings of the Annual Convention of the Japanese Psychological Association
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The Proceedings of the Annual Convention of the Japanese Psychological Association 85 (0), PC-159-PC-159, 2021
The Japanese Psychological Association
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390854717726411520
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- ISSN
- 24337609
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- Crossref
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- Abstract License Flag
- Disallowed