ささやくシルエット声の音色の純粋培養

説明

<p>私たちは,ささやき声のように,音声中にアクセントやイントネーションが存在しなくても,相手が何と言っているのかを聴き取ることができる。そこで,白色雑音を材料にして,通常音声の音色に相当するスペクトル包絡の形状を移し変えて,動的に変動する雑音を生成した。それは雑音でできている音なのに,人のささやき声に聞こえてしまうことから,錯聴現象として「声色の輪郭:—シルエットのささやき—」という作品にまとめた。さらにその手法を発展させて,通常音声をささやき声に変換する方法として,Phantom Silhouette方式を提案した。この方式の中核は,(1)スペクトルの低域抑圧と,(2)雑音駆動による音声全体の無声化である。これを音声のファントム化と呼ぶ。このファントム化に先立って,通常音声のスペクトルにささやき声の特徴を付与するため,(3)F1・F2フォルマントの上方シフトと,(4)スペクトルの高域成分の補填を行う。これをスペクトルのシルエット補正と呼ぶ。聴覚実験で主観評価を行ったところ,聴感上のささやき声らしさが実現できていた。なお,音声の自然性の改善が課題である。</p>

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