LGBのメンタルヘルスに関する臨床心理学的研究マイノリティ・ストレスとLGBアイデンティティの視点から

抄録

<p>レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル(LGB)は,スティグマに由来する様々なメンタルヘルス上の問題が報告されてきた。Meyer(2003)はLGBのメンタルヘルスに影響をおよぼす固有のストレッサーをマイノリティ・ストレスと定義し,LGBへの偏見や差別が過去のものではないことを指摘している。日本でも多くのLGBにいじめや対人関係上の苦痛が報告されており,そのメンタルヘルスの実態を明らかにすることが求められている。講演者は,先行研究が抱える諸問題を踏まえ,1)LGBと異性愛者のメンタルヘルスの比較,2)LGBの日常的な体験に関する質的検討,3)LGBのアイデンティティに関する日本語版尺度の作成,4)LGBとしてのアイデンティティがメンタルヘルスにおよぼす影響の検討を行なってきた。なかでも日々の体験からアイデンティティ受容の効果を明らかにした研究は,従来のネガティブな視点からLGBのポジティブな側面に焦点を当てた,日本においても初の試みである。本研究の結果より,当事者を支援する上でその強みに焦点を当てることの意義が示されたと考えられる。講演では,一連の研究と今後の展望について報告する。</p>

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