精神的健康と相関する喪失された対処資源の種類大学入学前後を比較して

抄録

<p>本研究の目的は,ストレッサーへの「対処資源」の喪失が精神的健康に相関するというHobfoll(1989)に基づき,生活上の変化を伴う大学入学前後における対処資源の喪失と精神的健康との関連を探ることであり,大学生120名にHobfoll & Lily(1993)などを参考にした資源喪失評価表と精神健康状態表簡易版(WHO-5;Awata et al., 2007)への回答を求めた。因子分析の結果,①「自己・人生の肯定に関する資源」(19項目),②「他者との関係に関する資源」(13項目),③「生活の余裕に関する資源」(14項目)の3因子が抽出された。資源喪失得点と精神的健康得点との相関分析を行ったところ,①「自己・人生の肯定に関する資源」の因子得点と精神的健康得点との間に有意な負の相関が見られた(r=−.322,p<005)。一方で,②「他者との関係に関する資源」,③「生活の余裕に関する資源」の各因子得点・資源喪失全体得点と精神的健康得点の相関はいずれも見られなかった。この結果から,大学入学前後に特に「自己・人生の肯定に関する資源」を喪失するほど精神的健康度が低下する可能性が示唆された。</p>

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