<一般演題抄録> 異食を繰り返した被勾留者の1例

  • 町田 光司
    社団医療法人白鷗会 まちだ内科クリニック 青森県警察医会

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抄録

 22歳男。他地区の強盗事件で執行猶予中、青森市内にて建造物侵入、窃盗事犯にて逮捕されて青森署留置施設に勾留中、実刑の可能性が濃厚となる中で異食を繰り返した。<br>  7月2日に風呂場のシャンプーを多量飲用して内視鏡検査を行い、喉頭部の良性ポリープと胃内のシャンプーと多量の泡を認めたため、吸引と洗浄を施行。7月11日にドアのパッキンを手で破損させて多量に飲み込んだ。内視鏡下での把持鉗子による回収は困難で、バスケット鉗子で数個回収後に網の部分が破損したため、この金具だけを用いてパッキン片を締めて一度に数個ずつ回収したところ合計56個に達した。しかし、その後7月15日畳の縁をちぎって飲み込んだが、把持鉗子で回収可能であった。その後も8月29日、壁に頭を強打する自傷行為が見られたが、CTにて脳内出血は無かった。<br>  尚、この間の経緯について本人は全く記憶が無いと繰り返すばかりで特に精神疾患も認められず、その後拘置所に移送された。このように、逮捕、起訴、裁判への過程において、留置施設での勾留中には不定愁訴、詐病だけで無く、不測の拘禁症状が見られる場合があり、注意が必要である。

収録刊行物

  • 弘前医学

    弘前医学 72 (1-4), 97-, 2022

    弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会

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