「現代のベートーヴェン」と呼ばれた佐村河内守のゴーストライター騒動を巡る社会システム論的分析

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  • The analysis of the scandal of Samuragochi Mamoru, the "digital-age Beethoven," from the perspectives of social systems theory
  • ゲンダイ ノ ベートーヴェン ト ヨバレタ サムラゴウチ マモル ノ ゴーストライター ソウドウ オ メグル シャカイ システムロンテキ ブンセキ
  • 「 ゲンダイ ノ ベートーヴェン 」 ト ヨバレタ サムラ カワチシュ ノ ゴーストライター ソウドウ オ メグル シャカイ システムロンテキ ブンセキ
  • 現代のベートーヴェンと呼ばれた佐村河内守のゴーストライター騒動を巡る社会システム論的分析

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抄録

本稿では,筆者がこれまでに考察してきたメディア文化に関する社会システム論的分析枠組みを利用して,クラシック音楽界では異例の注目を集めた佐村河内守の「ゴーストライター騒動」(2014年)を分析し,今日のメディア文化の在り方とそこにおける創造性産出のメカニズムの一端を明らかにした。クラシック音楽は歴史的に市民を感動させる音楽へと発展してきた。そのような歴史から考えれば,身体的障害や被爆二世といった記号的価値を付与して作品の価値を高めようとした佐村河内のやり方は自然なものであった。消費システムを観察し,消費システムを作動させようとする文化産業システムは,過去の作品との微細な差異を生み出しながら新しい商品を創作システムとともに生み出していく。創作システム,文化産業システム,消費システムが複合的に交差する中で佐村河内という「作曲家」が生み出され,彼は,現代日本の消費システムを作動させる調性音楽を生み出すプロデューサーとしての役割を果たした。文化産業システムを中心にした複数の社会システムが複合的に重なり合う中で,これまでになかった「21世紀の調性音楽」が生み出されたのである。

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