レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いた死亡アウトカムの追跡
書誌事項
- タイトル別名
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- Mortality Tracking using the National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan (NDB)
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説明
<p> 【目的】レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下,NDB)とは,日本の保険診療の悉皆データである.NDBには,死亡した患者のレセプトの「転帰区分」に死亡フラグが付与されるが,医療機関の付与忘れや付与間違い等によってすべての患者が正確とはいえなかった.診療行為や薬剤等から死亡を推定することで死亡転帰の有効性を高め,死亡追跡と術後予後の評価を行った.</p><p> 【方法】本研究は,医療計画策定に係る評価指標作成の一環として行った.4年分の奈良県KDBレセプトと3年分のNDBレセプトを用いた.KDBの保険者マスターに記載されている死亡転帰を教師データとし,KDBの死亡転帰の正解率や必要となる決定木の診療行為を洗い出した.分析にはR言語による決定木分析を用いた.その仕組みを用いてNDBでも検証し,その有効性を検証した.死亡数を人口統計と比較した.外科手術と内科治療で代表的な胃全摘術と経皮的冠動脈ステント留置術を行った患者に対して死亡割合とSMRを算出した.死亡情報は精度を高めたNDBの死亡転帰を用いた.</p><p> 【結果】この死亡ロジックの陽性的中率は96.2%であった.死亡を決定づける診療行為として上位に挙がったのは「看取り加算」,「呼吸心拍監視」,「酸素吸入」であった.感度は92.9%,特異度が99.7%であった.このロジックを3年分のNDBに適用し,同様の傾向を確認した.2015年度の胃全摘術患者の1年後の死亡割合は40歳以上で(15.9%,16.4%;男,女),死亡統計の死亡率から手術1年後の死亡割合を除算した期待死亡割合は(13.7%,14.4%),SMRは(473,865)であった.</p><p> 【結論】胃全摘術の患者は,ステント留置術患者に比べ80歳以上の超過死亡が多く,胃全摘の80歳以上の患者の超過死亡低下が示唆された.KDBを教師データとしてNDBの死亡フラグを策定した.現状ではそのすべての死亡を完全に追うことはできないが,死亡したアウトカムを正確に付与できればNDBで日本のコホート研究が大きく前進する.</p>
収録刊行物
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- 医療情報学
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医療情報学 40 (6), 319-335, 2021-03-17
一般社団法人 日本医療情報学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390854717893033600
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- ISSN
- 21888469
- 02898055
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可