複数回連続膵液細胞診における核の偏在傾向を示す類円形細胞の検討

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  • The diagnostic significance of round cells with a tendency toward nuclear eccentricity in serial pancreatic juice aspiration cytology examinations

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抄録

<p>目的:複数回連続膵液細胞診における核の偏在傾向を示す類円形細胞の診断的意義について検討した.</p><p>方法:高異型度膵上皮内腫瘍性病変(pancreatic intraepithelial neoplasia:PanIN)12 例を検討対象とした.細胞診標本を鏡検し,核の偏在傾向を示す類円形細胞の出現率と出現細胞数,出現様式を検討し,それらの細胞の核形不整,クロマチンの増量や不均等分布,クロマチンの多彩性,核小体について観察した.対照として慢性膵炎 13 例の細胞診標本を用いて同様に検討した.</p><p>成績:核の偏在傾向を示す類円形細胞の出現率は高異型度 PanIN では 12 例中 10 例(83%),慢性膵炎は 13 例中 4 例(31%)であった.高異型度 PanIN では中程度数から多数出現しており,核形不整やクロマチンの異常がみられた.慢性膵炎では,核の偏在傾向を示す類円形細胞は少なく,クロマチンの不均等分布と多彩性を示す症例は認められなかった.</p><p>結論:核の偏在傾向を示す類円形細胞におけるクロマチンの不均等分布と多彩性の所見は,悪性判定の手助けとなりうる可能性がある.</p>

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