下層植生が消失した針広混交林における樹木根系の露出とその制御要因

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タイトル別名
  • Exposure of tree roots and its control factors in a mixed temperate forest with no understory vegetation
  • カソウショクセイ ガ ショウシツ シタ シンコウコンコウリン ニ オケル ジュモク コンケイ ノ ロシュツ ト ソノ セイギョ ヨウイン

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説明

九州大学宮崎演習林の三方岳団地では,ニホンジカの植生採食に伴い1980年台から土壌侵食が生じていると考えられる。しかし,本地域でこれまでに生じた土壌侵食の程度は明らかになっていない。土壌層の剥離に伴い土中から空中へ露出した樹木の根系(露出根)は,土壌侵食の程度を示す有用な痕跡である。本研究は三方岳団地で出現した露出根の分布や露出高さとその制御要因を明らかにすることを目的に行った。調査ではツガ,ウラジロガシ,ブナ,ミズナラ,ホオノキを対象に,土壌面から露出根までの垂直高さ(露出高)を計測した。また,樹高や林床のリター量などの要因と露出高の関係から樹木周りの土壌侵食の制御要因を検討した。調査地では調査木より斜面下方に露出根が出現する傾向があった。全樹種の露出高の最大値(最大露出高)は17.1 ± 6.5 cmで,樹種に関わらず樹高と正の相関関係があり(ピアソン相関係数:r=0.35,p=0.07),リター量と負の相関関係があった(r=-0.35,p=0.07)。以上から,本調査地では樹木周りの土壌侵食が空間的に不均一に発生し,また樹高が高く林床のリター量が少ない立木の周囲では強い土壌侵食が発生していると言えよう。

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