本態性血小板血症に対する抗血栓療法中に発症した特発性食道粘膜下血腫

  • 岸 洋佑
    東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科 総合病院厚生中央病院 総合内科
  • 青田 泰雄
    総合病院厚生中央病院 総合内科 東京医科大学 血液内科分野
  • 堀江 義政
    東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科
  • 須藤 ありさ
    総合病院厚生中央病院 総合内科 東京医科大学 血液内科分野
  • 森山 充
    総合病院厚生中央病院 総合内科 東京医科大学 血液内科分野
  • 岡部 雅弘
    総合病院厚生中央病院 総合内科
  • 井口 豊崇
    独立行政法人国立病院機構東京医療センター 血液内科
  • 横内 幸
    東邦大学医療センター大橋病院 病理診断科
  • 後藤 明彦
    総合病院厚生中央病院 総合内科 東京医科大学 血液内科分野
  • 前谷 容
    東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科

書誌事項

タイトル別名
  • Idiopathic esophageal submucosal hematoma during antithrombotic therapy for essential thrombocythemia
  • ホンタイセイ ケッショウバン ケッショウ ニ タイスル コウケッセン リョウホウ チュウ ニ ハッショウ シタ トクハツセイ ショクドウ ネンマク カケッシュ

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抄録

<p>症例は73歳女性,本態性血小板血症(ET)で外来通院加療中であった。突然の胸痛と吐血のため緊急入院。胸部CT撮影と上部消化管内視鏡検査により,頸部食道から食道胃粘膜接合部までの特発性粘膜下血腫と診断した。特発性食道粘膜下血腫は,出血傾向を有する基礎疾患の存在が報告されている。この症例はIPSET-thrombosis high riskのETでaspirinを服用していた。Aspirin中止と保存的な治療で特発性食道粘膜下血腫は順調に改善したが,入院9日目に病棟で心肺停止により死亡した。病理解剖の結果,死因は肺血栓塞栓症と判明した。本例は,特発性食道粘膜下血腫を合併した骨髄増殖性腫瘍(MPN)の本邦における初めての報告例と考えられた。ET自体とaspirinによる治療はいずれも出血の危険因子と考えられるため,ET患者が強い胸痛を訴える場合は食道粘膜下血腫の可能性も考慮する必要がある。さらに,MPN患者が出血リスクのために抗血栓療法を中断しなければならない場合は血栓症の合併に細心の注意を払う必要があると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 63 (4), 265-270, 2022

    一般社団法人 日本血液学会

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