腹部超音波検査から肝腎間隙の脂肪層計測による内臓脂肪量評価の試み

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  • An attempt to assess visceral fat accumulation by measuring fat content in the hepato-renal gap on abdominal ultrasound

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抄録

<p>目的:生活習慣病と内臓肥満の重複が動脈硬化を進展させ,そのリスクを高めると言われている.内臓脂肪蓄積の評価にはCT検査(以下Fat scan)での評価が一般的である.しかし,放射線の被曝,コスト面で健診などの多人数に施行するのは難しい.一方,超音波検査は被曝の問題もなく簡便な方法で内臓脂肪蓄積の様々な報告がなされている.今回,腹部超音波検査の肝腎間隙脂肪層(以下perirenal fat;PRF)に着目し検討を行った.対象と方法:対象は2018年に人間ドックを受診し,腹部超音波検査とFat Scanを施行した478名(男333名,女145名,平均年齢58.3±11.7歳,平均BMI24.6±3.2).腹部超音波検査の肝腎画像からPRFを計測しFat scanと比較検討した.また,問診票から内臓脂肪蓄積の関係について検討した.結果と考察:全対象者の平均は腹部超音波検査のPRFで5±5.5(1‐7 中央値3)mm,Fat scanでの内臓脂肪面積は110±51 cm2となった.腹部超音波検査のPRFとFat scanとの相関関係は0.66(p値<0.001)と正の相関を認めた.Fat scanで測定した内臓脂肪蓄積とされる100 cm2をカットオフとし,腹部超音波検査のPRFとROC解析を行うと閾値は3 mmとなった.AUC:0.855(95%CI0.821‐0.889),感度81%,特異度81%,および陽性的中率80%,陰性的中率82%であった.超音波検査で肝腎間隙脂肪層が3 mm以上あれば内臓脂肪蓄積100 cm2以上を推測できると考えられた.結論:腹部超音波検査でPRFを計測することで,健康診断やスクリーニング検査で内臓脂肪蓄積を推測でき診断の一助になる.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 49 (3), 283-288, 2022

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (3)*注記

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