長期成績向上を目指した原因別の膵臓移植後グラフト喪失の検討
説明
<p>【背景】膵臓移植の長期成績向上を目的として,本邦膵臓移植症例登録データを用いて,膵グラフト喪失の原因別に膵臓移植後の膵グラフト喪失の詳細を検討したので報告する.【対象・方法】本邦において2019年までに施行され,日本膵・膵島移植研究会に登録された脳死・心停止下膵臓移植症例410例を対象とし,対象症例における膵グラフト喪失の詳細(好発時期,危険因子)を,グラフト喪失の原因別に検討した.【結果】膵グラフト喪失は全410例中94例(22.9%)に認められた.膵グラフト喪失の原因はDeath with functioning graft(DWFG)27例,グラフト血栓症24例,慢性拒絶19例,その他24例であった.グラフト喪失時期については,DWFGによるグラフト喪失は移植後の期間に関わらず認められていたのに対して,グラフト血栓症によるグラフト喪失の殆どは術後2か月以内に認められ,慢性拒絶によるグラフト喪失の殆どは術後5年以内に認められていた.それぞれの場合のグラフト喪失の危険因子は,多変量解析の結果,DWFGの場合はレシピエントの糖尿病罹患期間,グラフト血栓症の場合はドナーのBMI,慢性拒絶の場合は膵移植術式(SPK/PAKまたはPTA)であった.【結語】膵グラフト喪失の原因によって,膵グラフト喪失の好発時期や危険因子は大きく異なっていた.膵臓移植の長期成績向上を目指す上では,このような原因別の膵グラフト喪失の特徴を踏まえた移植後経過観察が重要であると考えられた.</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 56 (Supplement), s91-s91, 2021
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390854979924017408
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可