膵島移植を用いた1型糖尿病に対する移植戦略

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説明

<p>2020年に膵島移植が保険収載され,1型糖尿病への移植医療は選択肢が増加した.膵島移植は低侵襲である上に,その成績は膵臓移植に迫っている.1型糖尿病患者に対しては腎不全の有無により膵腎同時移植 (SPK),腎移植後膵移植 (PAK),膵単独移植 (PTA) が行われてきたが,膵島移植を含め,病態ごとに適した移植医療を再考する必要がある.本邦の1型糖尿病移植医療の現状を整理し,膵島移植の今後を展望した.</p><p>【腎不全を伴う場合】</p><p>従来行われてきたSPK,PAKに加え,腎移植後膵島移植が適応となる.我々の患者生存率に関する検討では, SPKは生存率の向上に寄与したが,PAKは膵臓移植の効果は限定的で先行的腎移植が生存率向上に寄与していた.また,5年グラフト生着率はSPK 86.7%と良好であるが,PAKでは57.3%と不良であった.以上から,腎不全を伴う場合は生存率向上のため早期のSPK(もしくは腎臓移植)が推奨される.腎移植後膵島移植はPAKと比較して有力な選択肢であるが,グラフト生着率が向上すればその適応範囲はさらに広がると考えられる.</p><p>【腎不全を伴わない場合】</p><p>PTAもしくは膵島単独移植が適応となる.我々の検討では本邦のPTAの5年生着率は30.2%ときわめて不良であることから,より低侵襲である膵島単独移植が推奨される.</p><p>膵島移植は現状において1型糖尿病,特に腎不全を伴わない(もしくは腎移植後)症例に対する有力な治療選択肢である.移植成績の向上によりその適応範囲はさらに拡がると考えられる.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 56 (Supplement), s535-s535, 2021

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390854979933373952
  • DOI
    10.11386/jst.56.supplement_s535
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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