古代中国の系譜意識

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  • コダイ チュウゴク ノ ケイフ イシキ

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説明

<p> 族譜は、宗族を形成する柱の一つとして、古くから編纂されてきた。だが、その用途は時代によって異なり、宗族の成員を確認するためという側面が主となる宋代以降に対し、古代においては出自や社会的地位の証明としての意味合いが強かった。何世代前までを祖先として意識していたのか、族譜資料に乏しい唐代以前について、祖先祭祀の範囲から推し量ってみると、王権の正当性を示す必要のある王室以外は、殷代から戦国時代のいずれの時代も、おおよそ遡って三世代から五世代の範囲であり、それが儒家思想に影響し、漢代以降へと続いていく。だが諸侯たちの始祖伝承は、政治情勢社会情勢の変化に応じて、創作されていった可能性がある。周代以降、王朝の始祖に感生説話が付与されるようになるが、漢王朝は建国者の劉邦自身に感生説話を語り、少なくとも前漢の『史記』編纂の段階では、劉邦を古帝王と結びつけるような系譜の創作をしなかったところに特徴がある。</p>

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