Fracture structure regulate collapse form

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  • 崩壊形態を規制する断裂構造

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<p>近年「記録的な大雨」が毎年のように降り,豪雨によって引き起こされた斜面崩壊や地すべりなどの災害が頻発している。吉村ら1)の報告では,γ線探査で同じ外力条件(降雨・地震)に対して斜面崩壊箇所を調査し,類似する条件の中でなぜそこが崩壊したのかに着目した結果, 崩壊地では「主断裂・共役断裂で形成される断裂構造」が影響をしていることを確認した。この崩壊の原因となる断裂の属性は広域地質図に記載されている地質断層とは異なり,断裂幅は0.5m~2.5mと小規模なものであり,現地形の大半が形成された第四紀地殻変動に伴うものと推定される2)。尾根・谷の屈曲に留意して,土砂災害発生箇所周辺の断裂線を描いた場合,崩壊箇所は「断裂線間隔が狭い区間」が交差した区域に対応している。崩壊しやすい区域のグリッド幅は崩壊幅にあたり,斜面崩壊で約80m,地すべりで約160m,深層崩壊(十津川村栗林地区)で約240mである。地すべりの崩壊幅がすべり面深度の7~10倍との関係3)から,崩壊形態別にすべり面深度を求めた。このすべり面深度は大まかに経験値と整合することから,断裂構造は崩壊形態を規制していると考えられる。従来,同じような地形地質であっても崩壊する斜面としない斜面があり,崩壊発生危険箇所の予測を難解にしている。崩壊形態を規制する「断裂構造」は,「岩石の破壊条件(地質)」と「応力配置(構造応力)」によって異なるため,断裂構造に関する構造地質学上の知識を斜面崩壊と関連づけて検討することがきわめて重要である。</p><p>文献 1) 吉村辰朗・吉松史徳(2019):断裂による分断に起因する斜面崩壊発生機構,応用地質,59,6,pp.485-494. 2) 吉村辰朗(2021):災害の因となる断裂について,めらんじゅ32号(印刷中). 3) 渡 正亮・小橋澄治(1987):地すべり・斜面崩壊の予知と対策,山海堂,pp.11-12.</p>

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