第39回日本重症心身障害学会学術集会に向けて

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  • 下泉 秀夫
    国際医療福祉リハビリテーションセンターなす療育園施設長

抄録

第39回日本重症心身障害学会を、平成25年9月26日(木)、27日(金)に栃木県宇都宮市の栃木県総合文化センターで開催させていただきます。 私の勤務する「なす療育園」は、国際医療福祉大学の中にある施設です。一昨年12月にお亡くなりになった、日本重症心身障害学会名誉会長であり、国際医療福祉大学の初代学長であった大谷藤郎先生は、「病む人も、障害のある人も、元気な人も、互いに互いを尊敬しあいながら『共に生きる社会』の実現を目指した教育を行う」という言葉を国際医療福祉大学の理念としました。大谷先生の遺志を継ぎ、今大会のテーマを「重症心身障害児者と共に生きる」としました。また、重症児者の関係者は、重症心身障害児者、ご家族へ、多職種が連携をとりながら支援を行っています。そこで、サブテーマを「重症心身障害児医療・療育における職種間連携」としました。 第1日目は、重症児者の機能の回復、改善に働きかける新しい技術、方法を共に考えたいと思います。まず新生児・重症心身障害児脳病理の第一人者である高嶋幸男先生(柳川療育センター施設長)へ「重症心身障害の脳を理解しリハビリテーション、療育を行う」の教育講演をお願いしました。次に、シンポジウム1「重症心身障害児(者)へのこれからのリハビリテーション」を行います。ここでは、各職種からこれからの重症心身障害へのリハビリテーションについて具体的な示唆をいただきます。さらに、日本で最も注目されている科学技術であるロボットスーツHALの開発者の山海嘉之先生(筑波大学大学院教授、サイバーダイン社CEO)に、少年のころからの夢、HAL開発の経緯、最先端技術の重度障害児者への応用について特別講演をお願いしました。 恒例のファッションショー(公開)は、「喜績織を使った重症心身障害児者の装い」として栃木県壬生町にある「手織工房 のろぼっけ」と、多屋淑子先生(日本女子大学家政学部被服学科)にご協力をいただきました。障害者の方が織った服と障害児のモデルのコラボレーションです、のろぼっけの作家の皆様も登場します、ご期待下さい。 第2日目は、重症児者と共に生きるための支援を考えていきます。一昨年3月11日に起きた東日本大震災では、地震、津波に加えて、福島第一原子力発電所の事故もあり、いまだ多くの方が、困難な生活を続けています。福島、宮城、岩手の各県の重症心身障害施設では、地震、それに引き続き電気、水道が止まり、非常に困難な状況に陥りました。シンポジウム2「災害時の重症心身障害児(者)への支援」を行います。東北3県の医療、支援者、行政の立場から、地震当時の状況、その後の歩みについて語ってもらい、具体的な災害対策の提言をいただきます。次に、日本小児科学会栄養委員会委員長として「経管栄養剤使用時のピットホール」として提言を行った児玉浩子先生(帝京平成大学健康栄養学科学科長)から経管栄養の注意点について教育講演があります。現在、重症心身障害児者の視覚機能とその評価法について、工学系の先生方と共に精力的に研究を進めている新井田孝裕先生(国際医療福祉大学視機能療法学科学科長)に、重症心身障害児者の見ている世界について特別講演をいただきます。最後に、シンポジウム3「地域生活重症心身障害児者本人、家族、きょうだいへの支援」(公開シンポジウム)として、地域で先駆的な重症児者支援を行っている元気な4人の先生方からお話しいただきます。 今年の一般演題発表(口頭発表、ポスター発表)では、口頭発表、ポスター発表ともに十分に時間をとり、発表者が満足し、参加者に発表内容が共有され、明日からの仕事に役立つような発表形式を計画中です。多くの方から積極的な演題発表を希望いたします。ポスター発表は、展示入れ替えなしで2日間継続展示します。 開催地、宇都宮市は、餃子の町、カクテルの街です、また、日光、那須の紅葉、温泉が日頃の疲れを癒してくれます。今年の学会は、参加者が心身ともに元気をもらって帰れる学会を目指して準備を進めています。ぜひ多くの方の参加をお待ちいたします。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390855190137214720
  • DOI
    10.24635/jsmid.38.1_1
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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