オマリズマブを使用した重症スギ花粉症20例の臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical Study of 20 Cases of Severe Japanese Cedar Pollinosis Treated with Omalizumab
  • オマリズマブ オ シヨウ シタ ジュウショウ スギ カフンショウ 20レイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

<p> 季節性アレルギー性鼻炎には既存治療で効果不十分な重症または最重症例が一定数存在する. 2019年12月, オマリズマブにそのような症例に限り季節性アレルギー性鼻炎の適応が追加された. 高価な薬剤であるため, 適切に使用するための注意点を見出すことを目的として本研究を行った. 2021年に当科を受診し, オマリズマブを使用した重症スギ花粉症20例の患者背景を分析するとともに, 日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票 (JRQLQ) と活動性障害調査票 (WPAI-AS) を用いて症状, QOL, 労働生産性への影響を検討した. 方法は初回投与時と約1カ月後にアンケート調査を行い, その結果を比較した. 投与後の結果 JRQLQ, WPAI-AS ともに総じて改善傾向を認めた. また治療終了後に行ったアンケート調査では回収できた18例のうち15例が今年オマリズマブを使用してよかったと回答した. 有害事象としては81歳男性の症例で2回目の投与後に多発性筋痛症を発症した. 53歳女性の1例が無効であった. この無効例は多重抗原感作で, 気管支喘息と通年性鼻炎が併存していた. 投与後も自覚的な鼻閉の改善は認めなかった. 鼻閉型ではその原因を厳密に精査し, 免疫療法や外科治療の併用を検討すべきかもしれない. 重症スギ花粉症患者にとってオマリズマブの効果や満足度はおおむね高いことが分かったが, 高価な薬剤であるため適応を見極めて適切に使用することが重要である.</p>

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