右肩部に生じた cellular fibrous histiocytoma の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Cellular Fibrous Histiocytoma on the Right Shoulder
  • ミギカタブ ニ ショウジタ cellular fibrous histiocytoma ノ 1レイ

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抄録

<p>22 歳,男性。当科初診約 1 年前から右肩の腫瘤を自覚した。その後腫瘤が徐々に増大したため当科を受診した。初診時,右肩後面に 15×13×高さ 7 mm のやや硬く触知する暗赤色隆起性腫瘤を認め,中央には円形の潰瘍を伴っていた。腫瘍辺縁から 20 mm のマージンをとり,脂肪織全層を含めて切除した。腫瘍中心部は表皮直下から真皮深層にかけて,多形性を有する紡錘形細胞が花むしろ状あるいは束状配列を示しながら稠密に増殖しており,細胞間の膠原線維は乏しかった。一方,腫瘍辺縁部では比較的腫瘍細胞の密度が低く,腫瘍細胞間に膠原線維や毛細血管が増生していた。腫瘍中心部では CD34 陰性,α-smooth muscle actin(以下 α-SMA)陽性であった。逆に,腫瘍辺縁部では CD34 陽性,α-SMA 陰性であった。これらの所見より,cellular fibrous histiocytoma(以下CFH)と診断した。CFH は皮膚線維腫全体の 5%未満を占める比較的稀な腫瘍であり,稀ではあるが肺や所属リンパ節への転移も報告されており,その一部は致死的転帰をたどっている。特に隆起性皮膚線維肉腫との鑑別が,CFH を診断する上で問題となる。臨床的,組織学的に鑑別を行い,適切な治療と経過観察を行うことにより局所再発や致死的な予後を改善できると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (2), 126-130, 2022-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (10)*注記

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