もの忘れ外来における初診患者の変化―緊急事態宣言の影響―

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タイトル別名
  • Changes in first-time patients in an outpatient memory clinic -The impact of the declaration of a state of emergency-
  • モノ ワスレ ガイライ ニ オケル ショシン カンジャ ノ ヘンカ : キンキュウ ジタイ センゲン ノ エイキョウ

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抄録

<p>目的:新型コロナウィルス感染症の拡大と,それに伴う緊急事態宣言の発令によって,多くの医療機関では通常の診療に支障をきたし,患者も病院受診を控える状況になった.当院でも2020年はもの忘れセンター初診患者の新規受け入れ中止などの対応を余儀なくされた.その後初診患者の受け入れを再開した際,患者の様子が以前と異なる印象を持ったため,初診患者の特徴を受診時期ごとにまとめ,検討を行った.対象と方法:杏林大学病院もの忘れセンターを2019年7月~2021年6月に受診した,65歳以上の初診患者517名を対象とした.四半期ごとに初診患者の身体的特徴やフレイル,高齢者総合機能評価の結果を比較検討した.結果と考察:2020年第3四半期(7~9月)の初診患者は他の時期の初診患者と比較して,服用薬剤数が多いほか,フレイルと判定される高齢者が多かった.下位項目では体重減少(48.6%),疲労感を訴える者の割合(37.5%)が有意に高かった.高齢者総合機能評価の結果では認知機能や日常生活動作,うつの状態には有意な差は認められなかったが,意欲の指標であるVitality Index得点が有意に低値であり,下位項目の中で食欲と活動意欲に低下がみられた.緊急事態宣言に伴う行動制限により,活動量の低下,食欲の低下が生じ,その結果,体重減少や疲労感が生じたという,負の影響があったものと考えられる.結論:2020年第3四半期に受診したもの忘れ外来初診患者は,他の時期の初診患者に比べてフレイルの割合が高く,意欲も低下していた.新型コロナウィルス感染症の拡大,緊急事態宣言による行動制限によって,もの忘れ外来受診患者のフレイルの進行が認められた.</p>

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