「翻訳の不確定性」を理解する

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  • Understanding the Indeterminacy of Translation

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説明

『言葉と対象 Word and Object』以来、W.V.クワインは翻訳の不確定性を支持する議論をしてきた。この主張は文の意味などというものがないという含意をもつとされていたので大論争の的になったが、この翻訳の不確定性テーゼでクワインは実のところ何を意味しており、何がどのように翻訳を決定しないというのだろうか。翻訳の不確定性は、科学理論の非決定性と質的に異なるのだろうか。もしそんな相異があるとしたら、それは何に存するのだろうか。翻訳の不確定性について数多くのコメンタリが書かれてきたけれども、こうした解釈上の論点は未だに残っている。この論文は、『言葉と対象』やクワインのその後の著作を検討し、これまでの解釈との異同を指摘しながら、翻訳の不確定性テーゼを解明し、翻訳理論と科学理論の間に認識論的身分の違いと存在論的身分の違い (とクワインにみなされたもの) を特定する。その際、いくつかのクワインに対する批判に問題があることを示唆する。

収録刊行物

  • 哲學研究

    哲學研究 588 [1]-[25], 2009-10-10

    京都哲学会 (京都大学大学院文学研究科内)

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