社会的文脈に依拠しない情報システムの認識枠組みに関する考察

書誌事項

タイトル別名
  • Cognitive Framework of an Information System independent of the Social Context
  • シャカイテキ ブンミャク ニ イキョ シナイ ジョウホウ システム ノ ニンシキ ワクグミ ニ カンスル コウサツ

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説明

社会の情報化は、単にICT システムを導入したり多用したりすることではなく、その利用者の営みが文化環境としての情報システムと認識できるレベルにまでに昇華されることによって果たされる。しかし、日本の組織や社会に導入されるICT システムは、既存の文化環境との摺り合わせやその維持をも強く求められるために利用方法や利用範囲に制限や制約が講じられるだけでなく、利用現場での新たな情報システムの醸成を阻害することともなる。それこそが、ICT を多用しながらも情報システムとして形作られる社会システムで後塵を拝することとなった日本社会の真の問題点と言うことができる。この状況を改善するための手立てとしては、新たな技術開発や技術の適用よりは、むしろ日本の社会的文脈の下であるべき社会システムについての議論を誘発できる情報システムの認識枠組みを構築し、普及啓蒙することこそが重要と考えられる。そこで、本論文ではまず日本社会における情報システムの認識枠組みを探り出すために、Wikipedia の情報システム項目の記述を問題意識や認識に関する社会的な了解事項と捉えて日本語版と英語版との記述内容を比較分析し、社会的文脈の違いによる問題意識や認識の差異と共に認識枠組みのあり方としての問題点を明らかにする。そしてこれらの知見を基礎として、システム論と情報論との観点からの議論を援用しつつ、社会的文脈に依拠しない情報システムの認識枠組みのあり方について議論する。

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