ウルシの内樹皮および樹脂道の形成過程
書誌事項
- タイトル別名
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- Formation process of inner bark and resin canal of Urushi
説明
<p>生漆はウルシ内樹皮の細胞で生産され樹脂道に分泌される。よって内樹皮と樹脂道の形成過程は生漆の収量を決定する重要な要因である。本研究では漆生産の向上に資することを目的としてウルシ内樹皮と樹脂道の形成過程を調べた。京都府福知山市夜久野においてウルシ4個体(12年生)を用い、地上高0.3、1.3、2 mの幹に、2021年6月8日に水平に傷をつけ、傷の上部から6月22日・7月22日・10月7日に樹皮試料を採取した。樹皮の組織から顕微鏡切片を作製し画像解析によって内樹皮および樹脂道の形成過程を調べた。また、岡山県真庭市蒜山に植栽されたウルシおよそ700個体の幹直径と内樹皮の厚さを測定し両者の関係を調べた。調査から以下のことがわかった。1成長期で形成される内樹皮の厚さは0.5mm程度で、幹直径がおよそ20 cmまでの範囲では内樹皮の厚さは直径に比例して増加した。漆掻きにより樹皮に形成される傷害樹脂道は傷害からおよそ1ヵ月以内に完成し、幹横断面では接線方向に列をなして、個体によっては上方に少なくとも5 cmにわたり形成された。この結果から、漆掻きの手法を加味すると、漆掻きにより形成される傷害樹脂道は生漆の収量に大きく寄与しないと考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本森林学会大会発表データベース
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日本森林学会大会発表データベース 133 (0), 218-, 2022-05-30
一般社団法人日本森林学会