山岳標高差に対する樹木細根の水獲得戦略: 常緑樹と落葉樹の樹種間比較

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タイトル別名
  • The water acquisition strategy of tree fine root in alpine elevation: comparison between evergreen and deciduous species

抄録

<p>本研究では、山岳域において樹木細根 (直径2 mm以下の根) がどのように水を獲得しているのかを明らかにするために、組織内の水の通りやすさを示す根水透過性を直接的に測定し、その標高応答性を評価した。調査は長野県と岐阜県の県境に位置する乗鞍岳の標高2000 m、2500 m地点で行った。対象樹種は落葉広葉樹で外生菌根種のダケカンバと、常緑針葉樹で外生菌根種のオオシラビソの2樹種とした。プレッシャーチャンバーを用いて細根に一定の圧力を加え、圧力当たりの出液速度を測定し、根水透過性を算出した。結果、根水透過性の標高応答性は樹種によって異なることが明らかとなった。ダケカンバの根水透過性は2000 m地点と比べて2500 m地点において有意に高くなった一方で、オオシラビソでは標高の違いによる根水透過性の有意な変化がみられなかった。この結果から、標高が高い地点では、ダケカンバは細根の水輸送機能を高め、地上部へとより水を供給できるようにしているのに対し、オオシラビソは大きく細根の水輸送機能を変化させていないことが示唆された。本発表では、さらに根特性の結果と合わせて山岳標高差に対する樹木細根の水獲得戦略に対する議論を深める。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390855422503375488
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_55
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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