ハウチワカエデの紅葉に伴う離層の形成過程

DOI
  • 矢崎 健一
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所
  • 張 春花
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域
  • 安部 久
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域
  • 北尾 光俊
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所

書誌事項

タイトル別名
  • Development of abscission layer with autumn coloring in <i>Acer japonicum</i>

抄録

<p>季節に伴う落葉広葉樹の紅葉は、葉柄の離層形成で維管束での師管流が阻害され、葉身に蓄積した糖でアントシアニンの合成が進行することによる、というのが定説である。しかしながら紅葉の進行と離層の形成過程の組織変化を直接的に対応させた研究例は少ない。そこで本研究ではハウチワカエデ(Acer japonicum Thumb.)の秋季の紅葉進行と葉腋の組織構造変化の対応を調べた。森林総合研究所北海道支所の樹木園のハウチワカエデ成木の典型的な陽葉で、2020年8月下旬から11月上旬にかけて約1〜2週間おきにスペクトロメータで葉身の分光特性、非構造性炭水化物(NSC)および窒素含量を測定した。測定葉の葉腋を含む小片を固定・包埋し、維管束帯を含む縦断面切片を光学顕微鏡で観察した。その結果、2020年の札幌では9月初旬から紅葉が始まり、NSCの一時的な増加がみられた。ほぼ同時期に葉柄の皮層組織の崩壊が観察されたものの、観察期間を通じて維管束帯の構造変化はみられなかった。皮層の崩壊後も葉身の窒素含量が低下したことから維管束は機能していたとみられ、師管の機能阻害以外のメカニズムが紅葉進行に関与することが本研究で示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390855422511500416
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_429
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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