失われゆく食用野生植物に関する地域知と継承意欲:福島県只見町を事例に

DOI
  • 古川 拓哉
    国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所生物多様性・気候変動研究拠点
  • 小柳 知代
    東京学芸大学環境教育研究センター
  • 松浦 俊也
    国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
  • 小山 明日香
    国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所生物多様性・気候変動研究拠点

書誌事項

タイトル別名
  • The loss and intergenerational transfer of local knowledge on wild edible plants in Tadami, Fukushima

抄録

<p>自然資源利用に関わる地域知(local knowledge)は持続可能な生態系管理や生物文化多様性の保全に不可欠だが、その消失が世界的に加速している。地域知の世代間継承を促すには、消失過程や継承意欲を明らかにする必要がある。そこで本研究では福島県南会津郡只見町において、野生食用植物に関する地域知の世代間差や継承意欲を評価した。対象地の小学生児童(10〜12歳、n=56)、その家族(n=57)、教職員(n=41)に対し、家族構成、幼少期の自然体験、日常的な野生食材の採取・摂食頻度、食用野生植物(山菜:37種、液果・堅果:26種、重複を含む)を知っているか、また食べた経験があるかについてアンケート調査を実施した。知識の量(回答者が知っている種数)と年齢には有意な正の相関があり、家族の知識量は子どもと教職員よりも有意に多かった。祖父母との同居、山菜の採取・摂食頻度も知識の量と有意な相関があったが、幼少期の自然体験は大人の知識量と相関を示さなかった。多くの教職員が山菜に関する教育プログラムの開発に高い関心を示したが、教職員の知識の少なさを補うには、地域の年長者の協力と参加が重要と考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390855422519459712
  • DOI
    10.11519/jfsc.133.0_246
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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