山岳域の樹木細根による無機態窒素吸収は標高差によって変化するのか?
書誌事項
- タイトル別名
-
- Does inorganic nitrogen uptake by fine roots of alpine trees change with elevation?
抄録
<p>本研究では山岳域における樹木根を対象として、標高による無機態窒素吸収の変化を解明することを試みた。調査は2021年の8月と9月に、乗鞍岳の標高2000 mと2500 mで行った。対象樹種は落葉広葉樹であるダケカンバと、常緑針葉樹であるオオシラビソの2種とした。細根を樹体につながったまま掘り出し、NH4ClとKNO3を含む窒素溶液に浸して90分間静置した。静置後採取した細根は形態および化学特性の測定、窒素溶液は比色分析による濃度変化の測定を行い、各窒素形態の吸収速度を算出した。結果、樹木根による各窒素形態の吸収速度は両樹種・両標高で硝酸態よりもアンモニア態の方が高くなった。またアンモニア態吸収速度はどちらの樹種も標高による変化が見られなかったのに対し、硝酸態吸収速度は両樹種ともに標高2000 mよりも2500 mで低い傾向が見られた。今回の結果から標高による樹木根の無機態窒素吸収の変化は、窒素形態によって異なることが分かった。発表では、各窒素形態の吸収速度と細根特性との関係についても示し、樹木根によるアンモニア態および硝酸態吸収速度を決定する要因について考察する。</p>
収録刊行物
-
- 日本森林学会大会発表データベース
-
日本森林学会大会発表データベース 133 (0), 691-, 2022-05-30
日本森林学会