株立ちした広葉樹の樹冠可塑性と幹傾斜
書誌事項
- タイトル別名
-
- Crown plasticity and stem inclination of broad-leaved trees with multiple stems
説明
<p> 樹木は、斜面や競争、さらに光環境が影響することで非対称な樹冠を形成して樹体を傾斜させる樹冠可塑性という性質を持つ。しかし、広葉樹林によく見られる株立ち個体が樹冠可塑性からどのような影響を受けるのかはわかっていない。本研究では、長野県南信地方の急傾斜地にある広葉樹林で、株立ち個体および単幹個体の樹体傾斜を比較した。調査対象は、コナラ、ミズナラ、クリのブナ科3種とした。結果、調査した2つの林分の全ての個体が樹体全体で斜面下側へ傾斜した。しかし、株立ち個体の斜面上側にある幹は、斜面下側にある幹および単幹個体よりも樹体傾斜量が少なかった。傾斜地では斜面上側が被圧されやすいため、下側に樹冠を形成した方が光を得やすい。しかし、株立ち個体の幹は同じ株の幹と距離が近い。従って、株立ち個体の斜面上側にある幹は斜面下側へ樹冠を広げられなかった可能性がある。対して、単幹個体および株立ち個体の斜面下側にある幹は斜面下側の空間を利用しやすいため、樹冠可塑性の働きによって大きく傾斜したと考えられる。</p>
収録刊行物
-
- 日本森林学会大会発表データベース
-
日本森林学会大会発表データベース 133 (0), 317-, 2022-05-30
一般社団法人日本森林学会