島原湾・有明海におけるニシン科魚類2種(コノシロ・サッパ)間の初期生活史の比較

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タイトル別名
  • Comparison of early life histories between two clupeid fishes (<i>Konosirus punctatus</i> and <i>Sardinella zunasi</i>)in Ariake Sound, Shimabara Bay, Japan
  • Comparison of early life histories between two clupeid fishes (Konosirus punctatus and Sardinella zunasi) in Ariake Sound, Shimabara Bay, Japan

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抄録

ニシン科のコノシロおよびサッパは,島原湾・有明海における仔魚相の優勢種であり,それぞれ春および春-夏に産卵し,これら2種の仔魚分布は,春季の湾奥河口域において部分的に重なっていた。そのため,両種間の浮遊期でのニッチェの競合の可能性が考えられた。そこで,両種の初期生活史を詳細に比較するために,仔稚魚を浮遊期,底生期および接岸期に分けてそれぞれ稚魚ネット,桁網および小型曳網によって,2006および2019両年5月に有明海において調査した。卵・仔魚の水平分布は2種とも両年間で変動したが,両種仔魚は基本的には湾奥部に集積することが認められた。その後,コノシロは砂浜汀線域,サッパは湾奥河口域をそれぞれ成育場として利用していた。一部の河口域では両種は共通して分布していたが,その河口域の2006年での鉛直的に仔魚分布をみると,潮汐に拘わらず,コノシロは表層に集積していたのに対して,サッパは底層から表層にかけて分散していた。この鉛直分布の相違が,河口域での両種の仔魚期間におけるニッチェの競合を緩和していると考えられた。

収録刊行物

  • La mer

    La mer 59 (3-4), 101-112, 2022

    日仏海洋学会

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