5.グルタチオンの日内変動を考慮した投与法によるマウス肝障害評価モデルの構築

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抄録

一般に反応性代謝物はグルタチオン(GSH)に抱合されて解毒されることから、反応性代謝物による肝障害の検出には、GSH枯渇剤であるL-ブチオニン-(S,R)-スルホキシイミン(BSO)を投与したGSH枯渇モデル(BSOモデル)が用いられている。しかしBSOモデルは、ほとんどが短期曝露による評価であり1-3)、臨床でみられる特異体質性の薬物性肝障害idiosyncratic drug induced liver injury(IDILI)が長期服用によって発症することが多いことを踏まえるとIDILIの発症要因を十分に反映できているとは言い難い。BSOモデルにおいて、長期曝露評価を困難にしている要因としては、BSOが肝臓のみならず全身のGSHを強力に枯渇させ4)、忍容性が低下するためと推察される。そこで、IDILI発症をより模倣した長期曝露が可能な肝障害評価モデルを模索するため、GSHの日内変動に着目した。<br>  GSH合成に必要なアミノ酸の一つであるシステインは、肝臓内の含量が低いためGSH合成の律速因子となっている5)。肝臓のシステイン量は摂餌に大きく依存し6)、摂餌により肝GSH量が上昇する。そのため、夜間に摂餌をするマウスでは、肝GSH量は正午までが比較的高く、その後減少する7-9)。一方、腎GSH量は一日を通してほとんど一定であり10)、GSHの日内変動には臓器間差が存在する(図1)。したがって、肝GSH量のみが低い時間帯(明期後8時間)に評価化合物を投与することにより、肝臓以外への影響を最小限に留め、BSOモデルでは困難であった長期曝露評価が可能になると考え、本検討を行った。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390855511119393280
  • DOI
    10.50971/tanigaku.2018.20_19
  • ISSN
    24365114
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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