読み困難児の眼球運動と読字能力・認知機能の関係について

書誌事項

タイトル別名
  • Relation of ocular movements and reading ability/cognitive function in children with reading difficulty
  • ヨミ コンナンジ ノ ガンキュウ ウンドウ ト ドクジ ノウリョク ・ ニンチ キノウ ノ カンケイ ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

本研究では,通常学級に在籍し通級指導教室を利用している小学生を,読み困難の有無によって2群化し,読み行動時の眼球運動の様相を比較することで,読み困難が読み行動に与える影響を明らかにすることとした。その際,音読と黙読,縦書きと横書き,精読と速読,有意味文と無意味文の比較を通して,各条件における影響を認知機能,学習習得度及びデコーディング能力の関係から考察した。本研究参加者は,知的発達については読み困難有り群が有意に高いものの,学習習得度については差が見られなかった。眼球運動については,黙読条件を除く各条件下において,読み困難群に固視時間や固視回数の増加傾向が見られた。また,読み困難群にデコーディング能力の低下が見られた。以上から,読み困難群は,知的能力が学習習得に反映されていないことが推測された。また,読み困難群は,固視回数及び固視時間の増加などの眼球運動不全が認められた。意味理解を必要とする音読時に見られる眼球運動不全には,意味理解能力やデコーディング能力が影響していることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ