縦長形状で乾物率が高い加工用タマネギ ‘すらりっぷ’ の育成

書誌事項

タイトル別名
  • ‘Surarippu’, a New Hybrid Onion (<i>Allium cepa</i> L.) with Broad Elliptic Bulb Shape and High Dry Matter Content for Processing Use
  • タテ チョウケイジョウ デ カンブツリツ ガ タカイ カコウヨウ タマネギ'スラ リップ'ノ イクセイ

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抄録

<p>加工業務用タマネギは,輸入タマネギを含め,大球で,剥皮加工歩留まりが高いこと,また加熱加工用では,球の乾物率が高いことが求められている.こうした需要に応えるため,球形が縦長で,乾物率が高い品種 ‘すらりっぷ’ を育成した.‘すらりっぷ’ は,球形がともに縦長である北見農試が開発した種子親系統 ‘KTM9843-02-01A’ と日本農林社が開発した花粉親系統 ‘NONC・S・C’ との単交配により得られる北海道の春まき栽培に適した晩生のF1品種である.育成地における球形指数は1.15で,晩生の主要品種 ‘スーパー北もみじ’(0.91)と比べて高かった.機械加工ラインを用いた加工試験では,主要品種 ‘北もみじ2000’ と比べて剥皮加工歩留まりや球の乾物率は高く,加熱加工時間は約11ポイント短く,全工程を通じた加工歩留まりは3.9ポイント上回った.‘スーパー北もみじ’ と同様,通常の冷蔵貯蔵により翌年晩春まで加工原料用としての供給が可能である.また,‘スーパー北もみじ’(抵抗性:強)と同等の乾腐病抵抗性を有し,育成地における平均1球重および加工用収量は ‘スーパー北もみじ’ より約1.45倍高かった.‘すらりっぷ’ は加工実需者の需要に応える特性を多く併せ持っており,国産タマネギの消費拡大に貢献することが期待される.</p>

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 21 (2), 237-246, 2022

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (14)*注記

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