月経前症候群の症状を有する女性へのアロマセラピーの効果に関する系統的レビュー―精神症状・身体症状・自律神経活動に着目して―

  • 松田 香
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
  • 白石 三恵
    大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of aromatherapy in women with premenstrual syndrome: a systematic review focusing on mental symptoms, physical symptoms, and autonomic nerve system

抄録

<p>目 的</p><p>月経前症候群は黄体期に精神的,身体的な様々な症状が現れる疾患であり,日本人女性の70-90%が何らかの症状を自覚している。本レビューは,月経前症候群の症状を有する女性に対するアロマセラピーの効果を検討することを目的とした。</p><p>対象と方法</p><p>2021年3月までに公表された和文・英文文献を対象に,「アロマセラピー」「月経前症候群」などの各データベースに応じた検索語を用い,電子データベース検索(医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINAHL,Cochrane Library,PsycINFO)およびハンドサーチを行った。包括論文の研究デザインはランダム化比較試験(RCT)とし,包含・除外基準に基づき採択論文を決定した。定量的統合には逆分散法を用いた。</p><p>結 果</p><p>RCT5件をレビューの対象とした。使用された精油はラベンダー,クラリセージ,ダマスクローズ,ダイダイ,ゼラニウムであった。精神症状への効果を検討した4件全てで,介入群では対照群に比べていらつき・不安・抑うつなどの精神症状得点の有意な改善が見られていた。身体症状への効果について調査した3件全てで,介入群では対照群に比べて浮腫・疲労・過眠などの身体症状得点の有意な改善が見られた。自律神経活動への影響を調査した2件において,介入群では対照群に比べて副交感神経の活動を反映するHigh Frequency powerが有意に上昇していた。定量的統合の結果においても,アロマセラピーにより月経前症候群の精神症状・身体症状が軽減,副交感神経活動が亢進されることが示唆された。ただし,これらの分析では統計学的異質性がみられた。</p><p>結 論</p><p>アロマセラピーは月経前症候群の精神・身体症状,及び自律神経活動に対して有益である可能性が示唆された。今後は,症状軽減に最も効果的な精油の種類および実施方法の検討が必要である。</p>

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参考文献 (30)*注記

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