単元「メダカの成長」における「生殖」概念の構築に関する研究

  • 大貫 麻美
    東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(自然系教育講座)

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Study of Constructing the Concept of Reproduction in the Study of Fish Breeding
  • タンゲン メダカ ノ セイチョウ ニ オケル セイショク ガイネン ノ コウチク ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

<p>動物の発生や成長を扱う小学校第5学年理科A区分「生物とその環境」における単元「メダカの成長」で構築される「生殖」概念を,その下位概念である「性別」概念と「受精」概念の構築の様子から分析した。単元の学習の前,中,終了時の3回に作成された概念地図から,以下のことがわかった。「性別」概念を構築する子どもの人数は学習を通して増加傾向にあった。概念を単元の学習前から一貫して保っている子どもが約26%である半面,単元を通して一度も構築していない子どもも全体の約26%にのぼった。「受精」概念は,単元の学習に伴い,約57%の子どもに概念の内容の増加が見られた。その概念構築について福岡・大貫1) の手法を用いて分析した結果,ほとんどの子どもは階層性が3まで高まっていた。分化・横断性については,単元の学習前から高い階層性を示した分化・横断型の子どもが,分化・横断性の平均値が4であるのに対し,統合型の子どもは,分化・横断性の平均値が2と低い値を示していた。また,「おす」ラベルの追加の様子を調べた結果から,メダカを実際に飼育し,子メダカを育てる経験を通しても,生殖についての「おす」の存在は軽視されがちであることが示された。これらの結果は,小学校達成度調査における横山2)の調査結果と一致していて,その調査において高い誤答傾向を示した「(たまごを子メダカに孵したいときの条件として)水槽にメスだけ入れてかう」という誤答が,オスの必要性を忘れたためではなく,単元の学習時にその概念が構築されていなかったことに起因することが示唆された。本単元でメダカの飼育を行う場合には,「生殖」概念においてオスが必要不可欠であるという概念を構築出来るような工夫が必要であるといえる。そのための具体的な案を示した。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 43 (1), 11-18, 2002-09-10

    一般社団法人 日本理科教育学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (12)*注記

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