書誌事項
- タイトル別名
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- Vascular hyperpermeable molecules potentially contributing to the development of pulmonary edema in sepsis-associated ARDS
抄録
<p>急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は重症な呼吸不全を呈する症候群であり,その原因は多様であるが,肺炎など肺自体を障害する直接損傷と,肺以外に原因が存在する間接損傷に大別したとき,間接損傷の原因としては敗血症が最も頻度が高く,また,基礎疾患別にも最もARDSに移行しやすい疾患であり,一方,敗血症の経過中に半数近くがARDSを発症するとされ,敗血症以外の原因によるARDSに比べると著しく予後不良である.ARDS肺では,毛細血管の透過性が亢進し肺水腫を生じた状態にあるが,敗血症では,ヒスタミン,一酸化窒素(NO),トロンボキサンA2,血管内皮増殖因子(VEGF)など種々の血管透過性物質産生増加あるいはそれらが作用する受容体の過剰発現が起こることが,非心原性肺水腫発症機構として有意な役割を果たしていると考えられる.近年,敗血症は遺伝子関連疾患として捉えられており,その発症や重症化に関連して,NF-κBをはじめいくつかの転写因子により,多くの分子の産生が転写段階で多彩に変化して病態形成に関与すると考えられていることから,敗血症病態修飾分子の発現を誘発するいくつかの転写因子を分子標的とした治療法に関して,新たな敗血症性ARDS発症予防の開発を模索していくうえで今後の研究の展開が待たれる.本稿では,敗血症性非心原性肺水腫に関わると考えられる血管透過性を増大させる因子について紹介し,敗血症性ARDSに対する新たな治療戦略における種々の血管透過性増大因子の意義について考察する.</p>
収録刊行物
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- 日本薬理学雑誌
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日本薬理学雑誌 157 (4), 226-231, 2022
公益社団法人 日本薬理学会