頸部神経鞘腫摘出術後に認められた しびれに鍼治療が有効であった1症例

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【目的】頸部神経鞘腫患者において、術後に上肢知覚障害をきたし、QOL を低下させることが臨床上課題となっている。今回、同疾患術後に左上肢しびれを認めた患者に対して鍼治療を実施したところ良好な結果が得られたので報告する。<br> 【症例】44 歳男性、主訴:左上肢しびれ。現病歴:X-3 年に左顎下腺腺様嚢胞癌、左頸部~縦隔神経鞘腫の診断。その後、左神経鞘腫は徐々に増大し、X-1 年 3 月より嗄声や声帯麻痺が出現。同年7 月に手術施行したが、術後 2 か月後より左上肢しびれが出現し休職。支持医療科受診し、プレガバリン 50㎎より 75㎎増量にて効果不十分であり、眠気が出現。X 年 10 月、当科紹介受診。現症:左側頸部に 3 × 3㎝の腫瘤を触知。胸鎖乳突筋と斜角筋に筋緊張と圧痛あり。左モーリーテスト、左アレンテスト陽性。左上肢全体の感覚鈍麻。病態:医原性神経障害または腫瘍性病変による腕神経叢や鎖骨下動静脈の圧迫に伴う症状と推測。施術期間:1回 / 週、合計 13 回。施術方法:ステンレス鍼(40㎜、16 号、セイリン社製)。使用経穴(患側に置鍼 10 分):頬車、下関、缺盆、天容、扶突、天鼎、中府、手三里、内関、合谷。評価(1 回 / 週):Numerical Rating Scale(NRS)、Japanese version of the M D Anderson Symptom Inventory(MDASI-J)、SF8 アキュート版(SF-8)。<br> 【経過】左上肢しびれは初診時 NRS7 であったが、6 診目では 4 と軽減。10 診目以降は復職も可能。MDASI-J の症状スコアは初診時 4.1 より 2.7、支障スコアは初診時 6.5 より 4.3 に改善。SF-8 の精神的サマリースコアが上昇。<br> 【考察・結語】本症例に対して鍼治療を実施した結果、左上肢しびれの軽減が認められ、復職も可能となり、QOL も向上した。本症例に対する鍼治療は有効であった。

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  • CRID
    1390855656024534656
  • DOI
    10.32255/jjsop.46.2_89
  • ISSN
    24345644
    21875316
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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