女を見る女のまなざし

DOI
  • 徐 玉
    大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程

Bibliographic Information

Other Title
  • 映画『華岡青洲の妻』における女同士の絆

Abstract

本稿は、増村保造の映画『華岡青洲の妻』(1967年)における女同士の欲望や絆の描き方に注目し、有吉佐和子による原作小説と比較しながら、その映画的表現の特色を考察する試みである。まず、この映画において、加恵と於継の心理や欲望が、二人のまなざしのやりとりと連動していることを検証した。続いて、欲望の三角形の概念を援用しながら、青洲、加恵、於継の三者関係を考察し、加恵の青洲への愛や献身は、於継のそれの模倣であると論じた。また、加恵と於継の愛憎を見守る女性「観客」としての小陸の視線を加え、女たちの間には、権力が奪われているがゆえに結ばれる連帯が存在していることを確認した。さらに、加恵が家制度における姑という身分と同一化するように描かれている原作に対して、映画の結末における円環構造は、一度は忘却した於継への愛の蘇生を示唆するものであり、女同士の絆を前景化させていることを指摘した。

Journal

  • Cinema Studies

    Cinema Studies 15 (0), 4-26, 2020-12-05

    The Japan Society for Cinema Studies

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390855656045164160
  • DOI
    10.20758/jscsj.15.0_4
  • ISSN
    24239399
    18815324
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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