「鉄の檻」から「脆弱な殻」へ
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- 野口 雅弘
- 成蹊大学
書誌事項
- タイトル別名
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- From “Iron Cage” to “Fragile Shell”: The Transformation of Bureaucracy
- ―官僚制の変容―
抄録
<p>日本における官僚制をめぐる言説とその変容を検討することで、「2010年代の政治と権力」の特徴と問題について考察することが、このペイパーの目的である。</p><p>1990年代の橋本行革以来、内閣機能の強化が図られてきた。公務員および公務員組織をバッシングして、政治的求心力を獲得するというのが、この時代の統治の特徴であった。エリートや既得権に対抗する下からの運動を「ポピュリズム」と呼ぶとすれば、「2010年代の政治と権力」は「官僚叩きポピュリズム」の力学で動いてきたといえる。</p><p>菅首相は「縦割り」打破といっている。しかし、いま私たちが目にしているのは、不毛な「官庁セクショナリズム」による行政のアナーキーではない。むしろ問題は、首相やその周辺への「権力の偏重」であり、権力の私物化であり、気まぐれな政策(アベノマスク、GoTo)の垂れ流しである。</p><p>かつて「リベラル」の課題は官僚制の「鉄の檻」(マックス・ウェーバー)に抵抗することだった。しかし今日、「官僚叩きポピュリズム」の結果、国家公務員採用試験の受験者は減り続け、若手官僚の離職も深刻になっている。官僚組織は「鉄の檻」ではなく、メンテナンスが必要な「脆弱な殻」という視点からも考察される必要がある。旧来のテクノクラシー(「官治」)批判の構図で議論を継続することはもはや適切ではない。</p>
収録刊行物
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- フォーラム現代社会学
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フォーラム現代社会学 20 (0), 33-42, 2021
関西社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390855656055672320
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- ISSN
- 24239518
- 13474057
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可