薬剤師の専従化による抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動実績と臨床医の受け入れ率の変化

  • 西垣 哲太
    横浜市立大学附属病院感染制御部 横浜市立大学附属病院薬剤部
  • 加藤 英明
    横浜市立大学附属病院感染制御部
  • 鈴木 智代
    横浜市立大学附属病院感染制御部 横浜市立大学附属病院薬剤部
  • 佐野 加代子
    横浜市立大学附属病院感染制御部 横浜市立大学附属病院臨床検査部
  • 中村 加奈
    横浜市立大学附属病院感染制御部
  • 堀田 信之
    横浜市立大学附属病院化学療法センター
  • 佐橋 幸子
    横浜市立大学附属病院薬剤部

書誌事項

タイトル別名
  • Assuring Adequate Antimicrobial Stewardship Improves Physicians' attitudes Towards Prescribing Antibiotics and Suppresses Antibiotic Use

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抄録

<p>背景:抗菌薬適正使用支援(AS)の中核をなすのは前向き監査と臨床へのフィードバックである.しかし,そのための業務時間を確保することは時として困難である.2018年4月診療報酬改定での加算による専従職員の確保がAS業務に与えた影響を解析した.</p><p>方法:2017年4月から2020年3月までの36カ月の1,094件のAS介入症例を後方視的に分析した.この間,当院の抗菌薬適正使用支援チーム(AST)は専任医師1名と専任薬剤師(勤務時間の50%をASTに従事)による週に3回の活動(期間A),専任薬剤師による平日毎日(期間B),専従薬剤師(同80%)による平日毎日(期間C)でAS活動を行った.それぞれの期間でのASTによる介入件数,臨床医の受け入れ率,対象患者の入院期間,30日死亡率,院内の抗菌薬使用量(DOT/1,000 patient-days)を比較した.</p><p>結果:期間AからCにおける月あたりのAS介入件数の中央値は,それぞれ18,27および47件であった.AS介入件数は医師の受け入れ率と正の相関があり(R=0.685,p<0.001),広域抗菌薬使用量(R=-0.386,p=0.020)およびcarbapenem系抗菌薬使用量と負の相関があった(R=-0.614,p<0.001).臨床医の受け入れ率は期間Aと比較して期間Bで26.1%(95%信頼区間[CI]18.4,33.7),期間Cで9.7%(95%CI 2.0,17.3)上昇した.期間Aと比較して期間Bでは広域抗菌薬使用量は-16.85(95%CI -27.49,-6.21),carbapenem系抗菌薬使用量は-15.84(95%CI -19.48,-12.21)減少した.</p><p>結論:AS担当薬剤師の業務時間を確保することによって,AS介入件数が増加し,臨床医の受け入れ率の上昇,抗菌薬使用量の削減につながると考えられる.</p>

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 96 (4), 132-139, 2022-07-20

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (19)*注記

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