両膝に半月板骨化症が生じた1例

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抄録

<p>症例:67歳女性。歩行時に右膝関節の外側部痛とロッキングを自覚したため近医を受診し,右膝の外側半月板(lateral meniscus: LM)損傷と診断され,手術加療目的に当科を受診した。既往に6年前の右脛骨高原骨折があった。受診時は膝蓋跳動陽性,関節可動域は伸展−15°,屈曲120°,McMurray testで外側に疼痛を認めた。単純X線画像では脛骨外側関節面の陥凹および外側関節裂隙に骨化陰影を認め,MRIでは顆間にT1強調画像で高信号,T2強調画像で骨髄と等信号の領域を認めた。診断として関節内遊離体が考えられ,関節鏡手術を施行した。しかし,関節内に遊離体が存在せず,LM後節には骨化組織を認めたため,半月板と一塊に切除した。切除した病理組織所見は半月板と連続する脂肪髄を伴った骨組織であり,LM骨化症と診断した。術後に症状は改善し,経過良好のため終診となった。手術から4年後に対側の左膝関節外側部痛とロッキングが出現し近医を受診し,関節内遊離体の診断で手術加療目的に当院を紹介受診となった。左膝の受診時所見として膝蓋跳動陽性,関節可動域は伸展−25°,屈曲120°であった。単純X線画像は右膝と類似しており,MRIでLM内に骨髄と等信号の領域を認めたことから,LM骨化症と考え鏡視下半月板切除術を施行した。LM中節~後節に骨化病変を認め,半月板と一塊に切除した。病理組織像は右膝と同じ所見であり,両側LM骨化症と診断した。術後は症状も消失し経過良好であった。半月板骨化症の発生機序は一次性と二次性に分けられるが,本症例は両側とも関節内骨折や半月板変性に伴う二次性の骨化症と考えられた。過去に,両側の半月板骨化症の報告はなく,極めてまれな症例と思われた。</p>

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