術前MRIにて骨壊死が疑われた舟状骨偽関節に対する鏡視下手術の治療成績

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抄録

<p>目的:舟状骨偽関節で近位部に骨壊死をきたす症例では,通常の遊離腸骨移植術の骨癒合率は低いとの報告が多い。手関節の舟状骨偽関節に対する鏡視下手術(Arthroscopic法,以下AS法)は低侵襲であり,良好な治療成績が報告されているが,術前に骨壊死が予想される症例には適さないとされていた。今回,術前MRI画像にて壊死が疑われた症例に対し,鏡視下手術を施行した症例の治療成績を報告する。</p><p>方法:術前MRIにて全例で近位骨片に骨壊死が疑われたが,骨欠損部が小さく,AS法にて対応可能と思われた舟状骨偽関節13例を対象とした。受傷から手術までの期間は3.5(2~7)か月,平均年齢が18.9(16~25)歳,骨折部は腰部8例,近位部5例,経過観察期間は12.8か月であった。これらの骨癒合率,臨床評価としてMayo Wrist Scoreを評価した。</p><p>結果:全例で骨癒合は得られ,術前MRIはT1強調画像で近位骨片は全例でiso signalであったが,T2強調画像は症例によってさまざまであった。術後掌背屈の可動域およびMayo Wrist Scoreで改善を認め,術後成績は良好であった。</p><p>考察:術前MRI T1強調像にて骨壊死が疑われた症例であっても,遊離骨移植であるAS法で骨癒合が得られ,良好な成績が得られた。AS法により骨膜などの周囲組織を可及的に温存したことが有利に働いたと思われ,骨欠損が小さければ,骨壊死が疑われてもAS法は有効と思われた。MRI画像と壊死との関連性や適応症例の詳細についてはさらなる検討が必要ではあるが,特に若年者が対象のAS法の適応はさらに広がる可能性がある。</p>

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