膵がん化学療法による末梢神経障害に対するミロガバリンvsプレガバリン
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- Daichi JODAI
- 広島大学病院薬剤部
Description
膵がんは早期発見が難しく,多くは切除不能の進行がんとして発見される.現在,切除不能進行膵がんに推奨される化学療法レジメンとして5-フルオロウラシル,オキサリプラチン,イリノテカン,ロイコボリンを併用するFOLFIRINOX療法とゲムシタビン,nab-パクリタキセルを併用するGnP療法が使用されており,予後は劇的に改善されている.一方,これらのレジメンでは多くの有害事象も報告されており,化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy: CIPN)は,両レジメンに共通する副作用である.我が国で標準的に使用されるmodified FOLFORINOX療法では,Grade3以上のCIPN発現率が5.8%,GnP療法では,Grade3以上のCIPN発現率が11.8%と報告されている.CIPNは症状が進行すると日常生活動作(ADL)低下を招き,その結果として化学療法継続が困難となり,予後に影響を与える可能性があるため,適切な管理が重要である.現在CIPNの治療に対して使用される薬剤として,ランダム化比較試験で有効性が確認されたのはデュロキセチンとプレガバリンのみである.また,CIPNに対するプレガバリンの有効性は,デュロキセチンよりも優れているという報告がある.近年,末梢神経障害に対する適応を有する薬剤として,日本で開発されたミロガバリンが上市された.しかしながら,ミロガバリンのCIPNに対する有効性に関しては報告されていなかった.本稿では,CIPNの治療薬としてミロガバリンとプレガバリンを比較した単施設の後ろ向き研究を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Avan R. et al., J. Res. Med. Sci., 23, 52(2018).<br>2) Paskett E. D. et al., JAMA, 309, 1359–1367(2013).<br>3) Salehifar E. et al., Clin. Drug. Investig., 40, 249–257(2020).<br>4) Sugimoto M. et al., BMC Cancer, 21, 1319(2021).<br>5) Domon Y. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 365, 573–582(2018).
Journal
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- Farumashia
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Farumashia 58 (8), 821-821, 2022
The Pharmaceutical Society of Japan
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390855886882352512
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- ISSN
- 21897026
- 00148601
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Disallowed