過多月経に対するマイクロ波子宮内膜焼灼治療とlevonorgestrel-releasing intrauterine system(LNG-IUS)治療の比較

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タイトル別名
  • Symptom improvement for hypermenorrhea ; microwave endometrial ablation (MEA) vs levonorgestrel-releasing intrauterine system (LNG-IUS)
  • カタ ゲッケイ ニ タイスル マイクロハ シキュウ ナイマク ショウシャク チリョウ ト levonorgestrel-releasing intrauterine system (LNG-IUS)チリョウ ノ ヒカク

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抄録

<p>過多月経を呈する患者に対してマイクロ波子宮内膜焼灼(MEA)治療とlevonorgestrel-releasing intrauterine system(LNG-IUS)治療を比較し,適応症例の選択や治療効果について検討した.MEA治療を行った14例とLNG-IUSを初回挿入した98例を対象とした.アンケートは治療前,治療後1,3,6カ月,1,2,3,4,5年に行い,自覚症状の推移をみた.LNG-IUS挿入後の自然脱落に関してはカルテから情報を収集した.全般的な自覚症状は両群とも治療前に比較して治療後に有意な改善がみられた.1年目までの比較では,両群間で統計学的有意差はみられなかった.月経量,疲労感は,両群ともに治療前に比較して有意に改善した.月経持続日数はMEA群では治療後に改善を認めた.圧迫症状はLNG-IUS群で治療前に比較して有意に改善した.月経周期,不正性器出血は,両群ともに治療前後で有意な変化はみられなかった.治療開始前の疼痛スコアはMEA群に比較してLNG-IUS群で高い傾向であったが,両群とも治療後速やかに低下した.1年後までの検討では2群間で統計学的な差は認めなかった.LNG-IUSの自然脱出は,1年目までで約18%,2-5年目までそれぞれ23%,27%,29%,32%であった.子宮病変のない群では3カ月以後の自然脱落例はなかった.自然脱落例の大多数は子宮筋腫や子宮腺筋症合併例で,これらの子宮病変合併例では数年後に脱落する例が散見された.MEA,LNG-IUSは,ともに過多月経に対して低侵襲で有効な治療法であり,過多月経に過長月経を伴う症例にはMEAを,過多月経に圧迫症状を伴う症例にはLNG-IUSを選択するのが望ましいことが示唆された.それぞれの治療法の特徴を熟知して対応すれば女性のQOL向上に大きく寄与すると考えられる.〔産婦の進歩74(3):301-308,2022(令和4年8月)〕</p>

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