妊娠中にStanford A型大動脈解離を発症し,後日遺伝性大動脈疾患が判明した2症例

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タイトル別名
  • Two cases of type-A aortic dissection during pregnancy with delayed diagnosis of genetic aortic diseases
  • ニンシン チュウ ニ Stanford Aガタ ダイドウミャク カイリ オ ハッショウ シ,ゴジツ イデンセイ ダイドウミャク シッカン ガ ハンメイ シタ 2 ショウレイ

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抄録

<p>若年女性の大動脈解離発症はまれであるが,妊娠中は循環動態や大動脈壁の変化により大動脈解離のリスクが高まるため,Marfan症候群等の基礎疾患をもつ妊婦ではとくに注意が必要とされている.今回,妊娠中にStanford A型大動脈解離を発症し,後に基礎疾患が判明した2症例を経験したので,文献的考察を踏まえて報告する.症例1は43歳,2妊0産,妊娠30週3日に突然発症の胸背部痛のため近医へ救急搬送され精査目的に当院へ転院搬送となった.経胸壁超音波検査でStanford A型大動脈解離の診断となり,帝王切開と同時に上行・弓部大動脈全置換術と大動脈基部置換術(生体弁)を施行した.退院後の遺伝子検査の結果,Loeys-Dietz症候群と診断された.症例2は28歳,1妊0産,妊娠中期に突然発症の背部痛を自覚していたが自然軽快したため受診せず,その後は妊娠経過に問題なく妊娠40週3日に経腟分娩となった.産褥2日目より労作時息切れを自覚し,退院翌日の産褥6日目には動悸も認めるようになったためかかりつけ産婦人科病院を受診,心不全の精査加療目的に当院へ転院搬送となった.慢性期のStanford A型大動脈解離の診断となり,心不全治療後の入院7日目に自己弁温存大動脈基部置換術,僧帽弁弁輪形成術を施行した.退院後の遺伝子検査の結果,Marfan症候群と診断された.〔産婦の進歩74(3):404-411,2022(令和4年8月)〕</p>

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