健診で血圧高値を指摘された高血圧症患者の疾患と治療に対する認識と態度

  • 洪 英在
    名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学
  • 平川 仁尚
    名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学
  • 犬飼 麻里子
    愛知県岩倉市健康福祉部市民窓口課
  • 水野 晴子
    愛知県岩倉市健康福祉部健康課
  • He Yupeng
    名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学 藤田医科大学医学部公衆衛生学
  • 江 啓発
    名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学
  • 八谷 寛
    名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学

書誌事項

タイトル別名
  • ケンシン デ ケツアツ タカネ オ シテキ サレタ コウケツアツショウ カンジャ ノ シッカン ト チリョウ ニ タイスル ニンシキ ト タイド

この論文をさがす

抄録

<p>目的 適切に血圧がコントロールされている人を増やすためには, コントロール不良の高血圧症患者に焦点を当て, その要因を明らかにする必要がある。高血圧症は無症候性であることが多いため, 患者本人の疾患や治療に関する認識への働きかけを行うことが重要であるが, そうした研究は少ない。本研究は, 健診でII度以上の血圧高値を指摘された高血圧患者 (すなわち, 良好なコントロール状態にあるとは判断されない高血圧症患者) の疾患と治療に対する認識や態度を探索することを目的とした。</p><p>方法 対象者は, 愛知県岩倉市が2019年度, 2020年度, 2021年度に実施した特定健診受診者の中から, 一度でも収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧100mmHg以上であった300名に対して研究参加を呼び掛け, 同意が得られた13名とした。データ収集は1回約30分間の1対1の半構造化面接により行われた。データ分析は, 質的内容分析により行われた。</p><p>結果 対象者の性別は女性5名, 平均年齢は69.2歳 (60-74歳) であった。2名がBMI 25kg/m2以上の肥満であったがBMI 35kg/m2以上の高度肥満は存在しなかった。13名ともに高血圧症での医療機関通院歴を有し, 8名がかかりつけ医から降圧剤を処方されていた。質的分析の結果, 高血圧に対するイメージ, 治療に関する認識, ピアから受ける影響, 患者からみたかかりつけ医の診療姿勢, 実際に行動変容することの難しさ, の5テーマが抽出された。対象者の中には, 高血圧症に対して重大性を認識していないか, 生活習慣改善に向けて行動を起こすメリットを感じていないようであった。また, 降圧剤について, 必要性を感じず, 副作用を危惧していた。こうした認識は, ピア, つまり同じ疾患を持つ家族・同僚や, かかりつけ医の診療姿勢から影響を受けていた。</p><p>結論 コントロールが良好でない可能性がある高血圧症患者の疾患と治療に対する認識と態度として, 行動変容の準備性の低さ, 治療内容に関する否定的な認識, ピアからの影響の大きさ, かかりつけ医の診療姿勢への転嫁的態度が存在する可能性があると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ