【総説:―受賞論文―】 化学酵素融合法によるキチン糖類の合成・変換に関する研究

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タイトル別名
  • [Review] Study on Synthesis of Chitin Derivatives Using a Chemoenzymatic Approach

抄録

<p>海洋バイオマス“キチン糖類”の利用及び高機能化を目的として,化学酵素合成法を基盤とした有用糖質複合分子の開発研究を行った.中性溶液ホウ酸存在下におけるN-アセチルグルコサミン (GlcNAc) の熱変換では,特定のヘキソフラノース誘導体が高収率で得られることを見出した.また,これら誘導体をリード化合物とすることで,天然生理活性物質であるフラノディクチン類の二段階全合成を達成した.ニワトリ卵白リゾチーム (HEWL) に対する遷移状態アナログ阻害剤の合成研究では,キチンオリゴ4糖末端モラノリン体 (GN3M)が強力な拮抗阻害剤となるばかりか,HEWLの反応機構を再検証するための有用なツールとして機能した.さらに,キチン糖類を酵素法によりヘテロオリゴ糖に変換後,中分子や高分子に集積化することで生体内多価糖鎖を模倣した様々な生物機能分子を創製した.これらは,病原性ウイルスに対して架橋特性や強力な吸着特性などを示す機能性糖質素材であり,ウイルスの新たな高感度検出法や捕捉技術,精製技術としての応用が期待された.</p>

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参考文献 (55)*注記

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